古い町並みが残り、住宅が密集する周辺環境の中、本計画敷地の道路向かいにある公園が地域の貴重な余白となっている。当該地域にあって隣接する賃貸住宅を含めた広大な敷地を所有するクライアントから、住宅として高い品質と同時に、周辺環境にも配慮した設計を求められたことを背景に今回の設計に至った。住宅設計において、クライアントの多くがプライバシーを確保しつつ内外の空間の繋がりを求めている。建築を開放するための開口部と、プライバシーを守るための塀を、この計画ではそれぞれを別のモノとして扱うのではなく、1つの建築とすることで開放とプライバシーという相反する要望に応えた。隣接する賃貸住宅、道路向かいの公園や敷地裏手の道路など、周辺の視線からプライバシーを確保するため開口は最小限にとどめ、吹き抜けやバルコニー、庭から光を取り込む計画とし、構造は階高や室内のスパンの確保からRC造が最適と判断した。
しかしRC造は単色で均一な素材であるため、今回のように開口部が少ない設計となると、単調で鈍重な建築となってしまう。そこで2階をずらし、採光とプライバシー確保のために設置した2階の大きな吹き抜け部分にスギ型枠で表情を付けた。なおかつ大きく角度を付けたことで、2階部分が軸を中心に旋回しているような表現を与え、重厚であるがどこか軽やかさを感じる建築に仕上げた。外構が建築をつくり、内外ともに建築としての空間化が図られ、建物の余白から木々が見えることにより周辺と調和し、外からも中からも楽しめる住宅となっている。
Photographer:笹の倉舎 / 笹倉洋平
氏名 | 門内 一生 |
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会社名 | 株式会社CAPD |
住所 | 〒732-0044 広島市東区矢賀新町4丁目2-30 |
TEL | 082-207-1115 |
FAX | 082-207-2612 |
HP | http://cap-d.net/ |
建物名 | PIVOT SHELTER |
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設計監理 | 株式会社CAPD 門内 一生 |
施工 | 下岸建設株式会社 |
構造設計 | Q&Architecture |
外構・造園 | WA-SO design / 和想 |
Photographer | 笹の倉舎 / 笹倉洋平 |
所在地 | 広島県広島市南区堀越 |
用途 | 専用住居 |
構造規模 | 鉄筋コンクリート造、地上3階建 |
敷地面積 | 557.59㎡ |
建築面積 | 166.74㎡ |
延べ床面積 | 325.71㎡ |
竣工日 | 2020年2月 |