「住み慣れた家で笑って過ごせるように」との思いで開設されたクリニックである。
内科・小児科外来を拠点に訪問診療を行い、在宅看護を経て最期を迎える患者の入院も受け入れる。
敷地は幹線道路が鈍角を成しつつ交差する南西の角地である。昼夜絶えない往来や厳しい西日に向いて、扇状に、いわば晒された状態だ。
変調させたバルコニーから成るファサードは、その場所でバッファとなって雑踏を濾過し、自然要素を建築へ引き込んで魅力的な環境を導いていく。
バルコニー手摺の傾斜は、騒音の反射板としての役を担い室内空間の静寂性を高め、更には建築を往来から後退させ粉塵との接触を減らし保守性に資していく。
バルコニーの開口高さは、エントランス、外来、病床、事務局というフロア単位でのプログラムに応じた意匠である。すなわち、日差しの入射角や方位を踏まえ加減した“明るさ”を与えることで室内の機能性を向上させ、各フロアの性質に則して選定した色彩や表面材へ“デザインされた陽光”を乗算させることで、時、季節といった生命感や発見性のある空間を創出し、医療の場へ貢献する事を期待したのである。
このクリニックには診察室が8室ある。通例と違い、患者や家族は診察室で待ち医師や看護師が各室を廻るためであり、院内感染の予防に加え、小さな子供やお年寄りが家族と共に安心して受診できるようにという、理事長の思想に基づいている。
建物にはカフェが併設され、医療と地域の交流の場とも位置付られ、「Home Care Community」と名された。
外 観
病 室
廊 下
待合室
診察室
廊 下
ホールキッズルーム
内 観
氏名 | 古本 竜一・奥田 秀樹 |
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会社名 | 株式会社古本建築設計 |
住所 | 広島市中区羽衣町1-11 |
TEL | 082-542-5442 |
FAX | 082-542-5443 |
info@furumotoaa.co.jp | |
HP | http://furumotoaa.co.jp/ |
建物名 | Home Care Community |
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設計監理 | 株式会社古本建築設計(古本竜一・奥田秀樹) |
施工 | 森信建設株式会社 |
所在地 | 広島市中区竹屋町 |
用途 | 診療所 |
延床面積 | 1,812.09㎡ |
構造規模 | 鉄骨造4階 |
竣工 | 2016年11月 |