新築当初から40年にわたり住み続けるマンションのリフォームである。夫妻の年齢を鑑みて心身に負担を掛けないよう、慣れ親しんだ間取りの大幅な変更は避け、限られた予算の中で三方が外部に面する恵まれた環境を十分に活かすことをテーマとした。
間取りの大枠はそのままに、間仕切りは建具が収まる範囲の内壁を残し、引き戸へと変更した。気軽に友人と交わりたいとの施主要望に応え、庭先的な談笑の場として玄関、バルコニー、洋室とで各々ダイレクトに通じる土間を新たに設けた。土間から住まいの奥へ空間の一体感や広がりを持たせるため、仕上げは各室の壁と天井を統一し、床材は室の用途に合わせて素材は変えつつも色調を整えた。引き戸を開け放つと全ての部屋がシームレスにつながり、風と陽光は部屋の奥まで届けられる。あるいは、子世帯が帰省した際は引き戸を閉じて部屋を仕切るなど、状況に応じてフレキシブルに使うことも可能である。
限られた枠組みの中、大胆な変容を用いらずとも、与えられた環境との接点や空間のシークエンスを緻密にデザインすることで豊かな住空間を実現した。
<リフォーム前>玄関
<リフォーム後>土間
<リフォーム後>LDK
<リフォーム前>LDK
<リフォーム後>洋室から土間を見る
氏名 | 古本 竜一、奥田 秀樹、升本 徳之 |
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会社名 | 株式会社 古本建築設計 |
住所 | 広島市中区羽衣町1-11 |
TEL | 082-542-5442 |
FAX | 082-542-5443 |
info@furumotoaa.co.jp | |
HP | http://furumotoaa.co.jp/ |
建物名 | マンションプロジェクトF -土間から繋がるひとつづきの空間- |
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設計監理 | 株式会社 古本建築設計 |
施工 | 株式会社 アサヒ装建 |
所在地 | 広島市中区千田町 |
用途 | 共同住宅 |
構造規模 | 鉄筋コンクリート造、地上11階建 |
敷地面積 | 734.38㎡ |
建築面積 | 614.96㎡ |
延べ床面積 | 建物全体床面積:6,503.10㎡ / リフォーム住戸床面積:86.85㎡ |
竣工日 | 2019年8月7日 |
ひろしま住まいづくりコンクール2019 リフォーム部門・最優秀賞受賞